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 自分が枕にしている膝の主は、本を読むことに集中しているようだった。
 もう少し《裏を読む》ということを覚えてもいいのではないだろうか。

続・ソファー




 寝返りを打ってラグナスの腹部へと顔を向けたシェゾは、こっそりと口だけでラグナスのズボンの前を開けて、やはり口だけでラグナスのものをぱくりと取り出した。
「ひっ?!」
 感触があって初めて気付いたラグナスが声を上げる。持っていた本が落ちてシェゾの頭に当たった。
 ――痛い。
 抗議の意味を込め唇に力を入れ、柔らかく刺激する。あまり待たずにそれは芯を持ち始めた。
「なっ、お前なに、やって……!!」
「お前の匂いをかいだら」
「なぁ……っ!!!!!」
 すぐ耳まで真っ赤になる。本当に面白い。
 上を向き始めたそれを下着の前から取り出すと、一番感じるところを舐め上げてやる。
「ひぁっ」
 擦れた呼吸音が証明している。感じていることを。
 よく知っているこの身体。もっとその反応を見たくて、触られるのが好きなところを何度も舐めてやる。
 顔を真っ赤にして眉根を寄せて、恥ずかしいとでも言いたそうに口を両手で覆っている。それでは息が苦しかろうし、何より声が聞かれない。
 シェゾは体勢を変えて腹這いになる。そしてもう蜜が溢れてきた先端を少し舐め、そして口に含んだ。
「んぅっ」
 呼吸が漏れた。けれど強情にまだ口を覆っている。いいだろう、いつまで続くか試してやろう。
 先端の張り出したところを丹念に舐めるうちに、段々と力が抜けていくのが分かった。口元の手が緩む。しかしまだ声は上げぬようにと、目を瞑り口も閉ざしたまま。本当に頑固なものだ。
 含んだものを口内で吸うようにしながら上下に動く。びくん、と体が震えた。
「はあぁ……んっ」
 吐息が漏れる。ここまできたら勝ったようなものだ。下の方で手でも扱いてやる。もう耐えられまい?
「あっ、や……ふぁ、やんっ……!」
 思った通り声を上げ始めた。少し水音を立てるようにそのまま動き続ける。
 そして扱く手はそのままに顔を上げる。ラグナスは顔を赤くして、くたくたと白い背もたれにしなだれかかっていた。
 起き上がり耳に顔を近づけて、囁く。
「最近あまりしなかったから、溜まっているだろう。出しておけ」
 快楽のあまりうっすらと涙の溜まった目が、ぼんやりとこちらを向く。ああ、本当にすぐ泣く子。そんな顔をするな。もっと苛めたくなるだろう?
 再び口を使って激しく吸ってやれば、可愛い声をあげて若い精は簡単に果ててしまった。いつもは甘くすら感じられる白い液体は、今日はずいぶんと濃い。やはり相当溜まっていたらしい。ごめんな?

 射精感にぼんやりしているところを、足を掴んでずるずるとソファーの上に仰向けにさせる。頭に肘掛けがくるように。
 とろりとした瞳はこの扱いの説明を求めているようだった。しかし引きずられ捲り上げられた服の下、顕わになった腹から手を入れて胸の飾りを弄ってやれば、可愛く眉根を寄せて「ぁん、ふぅっ……」と鳴き始める。その表情を堪能しながらズボンと下着を手早く剥ぎ取った。
 そこで覚醒したらしい。
「なぁっ!?」
 ここまできて今更驚くお前に驚くがな。
 むしろ「のぁ」と言うようにまた大声を出したが、強く胸を弄ればまたそれは鳴き声へと戻った。快楽には逆らえないのか目尻に涙を溜め、悔しそうな顔をしてこちらを睨みつけ、また声を抑える。楽しいものだ。
 圧し掛かって耳から首筋を舐めてやる。特に耳は吐息でも反応するほどに弱いところなので、堪え切れずにま掠れた吐息が漏れている。耳朶を甘く咬めば、びくびくと震える。
 中心は頭をもたげている。先程吐き出したはずなのに、もう。
 今日は随分と《スイッチ》が入るのが早い。いつもはもっと嫌がって抵抗して根競べのような様相になるのに、今日はあっさりと陥落してしまった。
 そう、やはり満足させなかったからだろう。最近は回数を極端に減らしていたから、夜半まで絡み合うことに慣れたラグナスの身体は満足できなかったに違いない。満足できなくても自分で処理するのがあまり好きではないし、自分から誘う性格でもないからずっと我慢していたのだろう。
「待たせてしまって、すまなかったな……」
 また耳元で囁けば、吐息が擦れる感触にぶるぶると震えている。もう思考を快楽の波に流されたようで、「何を?」と問いだけにぼんやりと不思議そうな目で見返してきた。それを塞ぐように目元に、頬に、鼻先に唇を落とせば、ラグナスは嬉しそうにふわりと笑った。
 その開いた唇に指を含ませる。根元までくわえてうっとりと吸い付き、夢中でれろれろと満遍なく舐め回される。ちゅぱちゅぱという水音の中で上気した頬と潤んだ瞳が、普段は見せることのない艶美な表情を作っていた。
 ――堪らない。
 二本目を入れ、口内を掻き回す。その動きに苦しそうに目を瞑れば、欲情のため表面に溜まっていた涙が目の端からぽろりと零れた。あぁ、もう泣いた。この目尻の赤をもっと見たい。
 指二本をたっぷり舐めさせると、それを下肢へと伸ばす。双丘を割って奥に触れると、びくりと身体が震えた。身体を硬くさせないためにキスをして意識を散らす。舌を絡ませることに夢中になれば、一本目はつぷつぷと入っていった。
「あっ、ん! や……は、シェゾ……ッ!」
 熱の篭った声で名を呼ばれる。
 お返しにと耳元で名を呼び返してやれば、またびくびくと震えて涙を零しながら首まで赤くする。指もきゅっと締め付けられた。
 ここまで慣らすのにどれだけかかったろうか? 費やした月日を思いながら、指を緩やかに抜き差しする。それだけでラグナスは背をしならせて震えるのだ。
 二本目を入れればきつそうに眉をしかめたが、それでもこの後に続く快楽を求めて懸命に受け入れようとする。少しでも苦痛から気を紛らわせるために唇を柔らかく吸ってやり、けれども指をばらばらに動かせば舌がびくりと萎縮した。その隙に舌を口内に差し入れ、蹂躙する。
「ん、ふっ……!」
 ラグナスが苦しそうに息をあげた。同時に内壁もびくびくと蠢く。唇を離して顔を見つめれば、顔を真っ赤にして小さく言葉を紡いだ。
「……ゾ、もっ……」
「ん?」
「はや、く……んっ!」
「何が、早く?」
 どうしてもにやける顔が見えないように、耳元で聞き返す。
「……! は、やく……っ」

 ――ほしい……!!

「よくできました」
 こんな可愛い顔でおねだりをされて断れるわけがない。恥ずかしいとばかりにぼろぼろ零れ落ちた涙を舌で掬い味わった。美味い。指は、小さなそこをもう少し慣らすために軽く動かしてから抜き出す。
 そして最初と同じように足を掴んで大きく開かせた。片方は背もたれに掛け、片方は床の上へ。全てが顕わになるその格好に、ラグナスは羞恥のあまり目をぎゅうと瞑っている。
 シェゾはサイドテーブルの抽斗から小瓶を取り出した。とろとろとした中身を己自身へかけ、握るようにのばせばくちゃりと卑猥な水音が立つ。その響きにこれから起こることを想像したのだろう、びくりと震えたラグナスの秘所にも瓶の中身を落とし、内部に塗りこんだ。潤滑油ですっかりぬるぬるになったそこへ、もうすっかり熱くなったシェゾ自身を宛がう。
「あまり慣らせなかったからな……キツいぞ。力を抜け」
 ラグナスは精一杯大きく呼吸をし、少しずつ脱力する。そこへ体重をかけ、ぬぷりと自身を沈み込ませた。
「アッ、あぁ……っ!!」
 一番きつい入り口を、一番大きな先端が割って侵入していく。ラグナスは顔をしかめ痛みに耐えている。懸命に大きく息を吸い、体の力を抜こうとする。
 ラグナスの中へ侵入してゆく、感覚。
「うっ、あ、あ、あっ、あァ……ッ!」
「……、入った……」
 しばらく期間をあけた所為でそこはずいぶんと狭くなっていた。押し広げられた最初の感覚に歓喜するように震えるラグナスが落ち着くまでは動かないつもりだったが、首に腕を回し何度も何度も己の名を呼ぶ嬌態に、そんな自制も続くわけがない。
「シェゾ、シェゾ、シェゾ……ッ!!」
「ラグナス……」
 久しぶりの交わりにラグナスはいつもより積極的に動いた。普段は腰を振るのも恥ずかしくて出来ないと言うのに、今は無我夢中で快楽を貪っている。その様子が愛しくてたまらなかった。
 滅多に見られない、乱れた姿。
 もっともっと見たい。
「アァ、ぁんッ! んっ、んっ、……ッ!! シェ、ゾ……」
 己の名を呼び続ける恋人の唇を塞ぐ。熱い口内を互いに感じている間に、ラグナスは首から頭へと手をずらした。それを髪の中へ差し込み、撫でるように頭のラインを動く。
 唇を離して表情を見れば、ふわりと笑う顔があった。
 目元は涙で赤く染まって扇情的なのに、まるで慈しむように真っ直ぐこちらを見上げる。
 まるで全てを、包むような。
「…………ッ!」
 ……反則だ。
「イクぞ……」
 本当はもっと焦らしてやるつもりだったが、限界だった。
 腰の動きを小さく、しかし力強くする。
 ラグナスの前を握り、上下に扱く。
「んっ、あ、あ、シェゾ、アァ……ッ!!!」
「……ッ!」
 尾を引く声を上げながら、ラグナスが手の中に白濁を弾けさせた。収縮する筋肉の締め付けで追うようにびくりびくりと吐精すれば、その感覚にもラグナスは背をしならせて反応する。
 共に落ち着いた頃、まだ繋がったままの内部をラグナスがからかうようにきゅっと締め付けた。仕返しとこちらも力を入れれば、力を入れた分余計に感じたのかまたびくんと背をしならせる。反応してしまったのが悔しいと、こちらを睨んでくる。
 可愛い顔をするな、バカ。
 もっと見たくなると言っているだろうが。





 久しぶりの濃い情交を存分に楽しむと、もうすっかり夕方になっていた。窓の外が赤く染まっている。
 後始末をシェゾに任せ、ぐったりと外を眺めながらラグナスは思う。
(あーあ、昼間からこんなことしちゃった……。一日潰すなんて、不健全だなぁ)
 半日とはいかないまでも、結構な時間をソファーの上で過ごしてしまった。しかも買ったばかりの。
「あ……」
 そこでふと気付き、緩慢に頭を振って周りを見る。
「あーあ……」
「どうした?」
 鼻紙でラグナスの身体を拭くシェゾが聞く。
 ちなみにその手はたまにもう済んだはずのところまで伸びて悪戯をするのだけれど、何度言っても聞かないからもう諦めている。
「ソファ、汚しちゃった……」
 周囲を見ただけでも涙と涎でしみが出来ているし、たぶんシェゾの方はもっとすごいことになってるんだろう。なんせ回数×二人分だもの、時間も経っちゃったし……。
 けれどシェゾはすましたもので、
「まぁそのために買ったもんだから仕方ないだろ」
 しれっと言い放った。
 思わず鸚鵡返しに呟く。
「そのため?」
「このため」
 ぽかんと口を開けたラグナスに構わず、シェゾは言葉を重ねる。
「いい買い物だったな。最初は大きさと形で目に付いたんだが、座ってみるとこれがなかなか丁度いいスプリングだ。この上でお前を組み敷いたらさぞかし楽しかろうと思ってな。すぐ注文した」
 目も口も丸く開けたまま動かないラグナスに、シェゾはにやりと笑いながらもう一言添えた。
「俺の目に狂いはないな」

「お、お前というやつはぁ〜!!!!」
 身体を起こして頭を叩こうとしたら腰が痛んだ。ちっくしょう。




うららかな日差しが差し込むリビングには、白いソファーが置かれている。
その主は同居人の膝枕での昼寝を、日課にすることにしたのだった。






2008.7.14



こっちがメイン(笑)